中嶋一貴TGR-E副会長に聞く、WECトヨタの今後の車両開発。海外挑戦組の坪井翔、宮田莉朋のこれから | ニュース | autosport web

October 07, 2025 1 min read

ル・マン/WEC ニュース
中嶋一貴TGR-E副会長に聞く、WECトヨタの今後の車両開発。海外挑戦組の坪井翔、宮田莉朋のこれから
投稿日: 2025.09.25 18:57
Tomoyuki Mizuno / autosport web
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今週末、富士スピードウェイで行われるWEC(FIA世界耐久選手権)第7戦に向けた木曜日の搬入日、TOYOTA GAZOO Racing  Europe(TGR-E)の中嶋一貴副会長が取材に応えた。
今季のTOYOTA GAZOO Racingは、成績が低迷。第3戦スパでの8号車の4位がこれまでの最上位成績となっており、表彰台にも上がれない厳しい戦いが続いている。周囲では後発のライバルメーカーが新規参戦を果たしたり、車両にアップデートを投入して戦力アップを図るなか、投入5年目を迎える『GR010ハイブリッド』のパフォーマンスは頭打ちになっている印象だ。そんな中で、ホームレースである第7戦富士を迎えることになった。
⎯⎯厳しい今シーズンですが、今回の富士ではどのような目標で臨むのでしょうか。
中嶋一貴副会長(以下、中嶋):もう目標はシンプルで、優勝を目指すことしかないと思ってます。自分たちが今回、どの辺の立ち位置にいるかというのは、やってみないとわからないところがある、というのが正直なところです。現実的なのかどうかは明日(フリー走行で走行後)になってみないとみないとわからないですけど、目標としてはもう、ひとつしかないかなと思います。
⎯⎯ホームの富士で、しかも今回はWECのちょうど100戦目という記念大会で、今季初優勝を目指す。
中嶋:そうですね。今年はこういう厳しい状況が続いているので、やっぱりその中でひとつ、いい結果を出せるとしたら、ル・マン以外ではもうホームレースの富士しかない。まずは富士で、と思っています。
⎯⎯今年はクルマとしてのパフォーマンスがどうしても厳しいという部分が見えていますが、来年に向けては今のクルマを大きくアップデートするのか、それとも新しい車両を作るのか。来年へのアプローチも進んでると思いますが、どのような方向になるのでしょうか。
中嶋:いろいろと考えていることはありますし、実際、去年から今年にかけてクルマは結果的には触っていない(開発を加えていない)ですけれど、決してチーム内で何もしてないわけではないので、時間をかけていろいろな部分でクルマの評価をして、どの辺が進歩できるのかというところをやって来ています。今年、苦戦が続いてる中でル・マンとか前戦のオースティンとか、やっぱり明確に課題が見えたところもあるので、それを形はどうあれ、来年以降に向けて反映していかなきゃいけない。それに向けて、いろいろと検討しているところです。来年、このままでいいという風には、誰ひとりとして思っていないということだけは、しっかりお伝えしておきます。
⎯⎯クルマとして、もっとも足りない部分はどのようなエリアになるのでしょうか。
中嶋:ル・マンの時には優勝したフェラーリに限らずですけど、他のクルマとの競り合いの中で弱さがあったというところは事実だと思うので、それもひとつの部分だと思います。ただそれだけではなくて、コンディションがある中で常にこう安定して空力の性能を発揮するというところが1番キーポイントかなとは思うので、どんな状況下でもドライバーが自信を持って走れるクルマを作る、というところに尽きるかなと思います。
⎯⎯もうひとつ、今後について気になるのがドライバーラインアップです。6人ともパフォーマンスが高いドライバーですので、あまり変える余地はないように思えますけど、やはりFIA F2に参戦している宮田莉朋、F1のテストに参加し始めた坪井翔が候補になるのなど、気になります。
中嶋:WECだけに絞って言えば、ドライバーラインアップはあまり変える理由がないという風に思っていただいてるということは、そういうことなんじゃないかなとは思います(笑)。来年について、チームとして今の段階で言えることはたくさんはないですけれど、ドライバーのことはしっかり、フラットに評価しているつもりです。やはり耐久レースはいろいろなファクターがあるので、純粋に速ければいいかというと、それだけの問題でもない。いろいろな要素が求められるレースだと思うので、そういう意味では今のドライバーラインアップはウチのチームの強みのひとつではあると思ってます。ただ、やっぱりコンペションが激しくなってくる中でいろいろ見えてくるものもあるので、来年に限らず短い目、長い目線と両面でいろいろ見ているという状況かなと思います。
⎯⎯2年目の参戦となるFIA F2の宮田選手が今年、マシントラブルも多くて苦労しています。一貴副会長はどのように見ていますでしょうか?
中嶋:ずっと近くで見ているわけではないので、あまり僕がコメントする立場にはないかなと思いますけど、やっぱりF2の環境はいろいろなファクターがあると思います。今年はチームも変わってますし、やり方も含めてイチから変わった中でチームの状況を変えて行くのは、すごくエネルギーがいることだと思います。そういうところもあって苦労しているんだろうなと想像しますけど、でも、その中でもいい結果を出せてる時もあります。それに決して今年の結果だけがすべてではないと思うので、まずはそれを経験にしていくことしかできないと思います。その経験していくことが今後、将来に生きると思います。自分も経験者としてそこは間違いないと思うので1歩1歩、進んでいってほしいなとは思います。
⎯⎯来年に関して、参戦の可能性があるカテゴリーとしては?
中嶋:まあ、発表があるまでお待ちくださいとしか言えません(苦笑)。
⎯⎯もうひとり、海外挑戦という点で気になるのは、8月に富士でF1のTPC(Testing of Previous Cars/旧型車を用いたテスト)に参加した坪井選手です。一貴副会長は富士でのハースのTPCテストの時、別のお仕事で現場に来れなかったと思いますが、その後、いろいろな方に聞いて坪井選手のTPCテストに、どのような印象を持ちましたか?
中嶋:何て言うんでしょう……まあ、ある意味、想像どおりですね。走り慣れた富士ですし、今のF1は、たぶんスーパーフォミュラのクルマとそんなに走って違和感のあるクルマではないだろうなと思うので、そういう意味ではきちんと自分の持っているものを発揮してくれたんじゃないかなと思います。小松(礼雄/ハースF1代表)さんもおっしゃっていましたけど『別にあれぐらいは走れるよね』という。それぐらい、みんなスーパーフォーミュラでチャンピオンを獲るということに対してリスペクトを持っているので、その通りの内容だったんじゃないかなと思います。
⎯⎯次、10月にシルバーストンで坪井選手は2回目のTPC、そして初めての海外サーキットでのF1テストに参加しますが、次は同行はするのですか?
中嶋:はい。今のところはその予定です。
⎯⎯富士でのTPCテストから、徐々にステップが進んでいるように見えます。坪井選手自身も海外への志向が高くなっているように感じますが、いかがでしょうか。
中嶋:まだ本人と直接、そんなに面と向かってやり取りしているわけではないので、ちょっとその辺は僕は何とも言えませんけれど、富士でのTPCテストでは誰もが高い期待値を持っている中で、きちんとそれを乗り越えてくれたと思っています。ですが、みなさんご存知の通り、世界で戦うというチャレンジは別のところにあると思うので、そういう意味ではシルバーストンでのテストはすごく大事なステップというか、意味のあるものになるんじゃないかなと思います。今後については、まずはシルバーストン次第じゃないでしょうか。本人も含めて、そこどう思うか。どういう方向に行くのかというところが、なんとなく進んでくのではないかなという風には想像します。
⎯⎯経験者として、中高速コーナーの多いシルバーストンはやはり、そんなに簡単なサーキットではない?
中嶋:うーん。今のシルバーストーはどうですかね。コーナーが昔より少なくなりましたし、今のF1のダウンフォースが多すぎて速くて、9コーナー(コップス/右の高速コーナー)が全開でコーナーじゃない(苦笑)。春先にTPCを見に行った時に、何か自分が知ってるシルバーストンじゃないというのは感じました。とはいえ、やっぱり初めてのサーキットでどういう走りができるかというのは大事な要素だと思いますし、何よりも彼の場合は海外での経験が圧倒的に足りないというところを、いかに埋めていくかとだと思います。そこに向けて本人も努力しているというのは伝え聞いているので、個人的にはそれがどういう形で発揮されるのかなというのは楽しみですね。
⎯⎯今年もこれまでドライバー育成の部分ではWECの活動とF1と国内レースというのが、TGRとしてすごくリンクしてきているようなイメージがありますが、中嶋一貴副会長としての手応としてはいかがでしょうか。
中嶋:それは、今に始まったことではないと思ってます。WECに関しては平川(亮)もそうですし、もう海外と国内のドライバーとの距離はそんなに大きくあるとは思っていません。たまたま一時期、(トヨタ陣営内に)海外でやりたいというドライバーがいなかっただけだと思っています。それでもやはり、昨年のハースとの提携でF1の機会があるということは、ドライバー目線ではこれ以上ない、すごくありがたい機会だと思いますし、実際、平川がF1に乗るようになって、その成長度合を近くで見てきている。やっぱりドライバーを成長させる、成長させるためのモチベーションという意味でもF1は大きな意味があることだと思うので、こういう機会が今あるということに、本当に感謝しなきゃいけないなと思いますね。
⎯⎯実際、TPCテストを富士で開催してくれたことは、日本のレースファンとしても、F1との距離が近くなった感じがすごくありましたので、とても貴重な機会でした。
中嶋:そうですね。そこは小松さんの強い思いがあってのことだと思いますし、実施してみて、やっぱりあれだけの反響があった(平日の2日間で6200人が来場)というところに現れていると思うので、もっとファンの方とF1の距離、特に日本のファンとF1の距離があの縮められるような機会がもっともっと増やせられると素晴らしいなと思います。
WEC第7戦富士、取材に答える中嶋一貴TGR-E副会長
WEC富士の搬入日に整備中のGR010 HYBRID。今年で5年目を迎える。
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